客観視で仕事も人間関係も
よりポジティブに
人生には理由がある
vol.02 産直通販サイト「食べチョク」代表 / 秋元里奈さん
秋元里奈 / 起業家
産直通販サイト「食ベチョク」代表。1991年神奈川県相模原市生まれ。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手IT企業「DeNA」に入社。Webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験した後、スマートフォンアプリの宣伝プロデューサーに就任。その後2016年11月に、25歳の若さで株式会社ビビッドガーデンを創業する。2017年8月、オーガニック農家のマーケットプレイス「食べチョク」をリリース。2018年4月、第4回日本ネット経済新聞賞を受賞。2018年11月、飲食店向けの新サービス「食ベチョクPro」をスタート。
農薬や化学肥料を使わず、丹精込めて野菜を育てている全国の生産者に、IT技術を活用したツールで、利益率の高い流通ルートを提案したい。そんな思いから、25歳でビビッドガーデンを設立した。
客観視で仕事も人間関係も
よりポジティブに
産直通販サイト「食べチョク」代表 / 秋元里奈さん
産直通販サイト「食べチョク」代表の秋元里奈さん。
若くして起業し、起業人として常に心掛けていること、取り組んでいることとは。
秋元里奈さんご自身に語っていただきました。
25歳。起業したのは 農業の課題を解決する手段だった。
元々、起業という選択肢は考えていなかったという秋元里奈さん。そんな秋元里奈さんの考えが変わるきっかけは社会人3年目の時だったそうです。
「学生時代はとにかく安定志向で、大手企業への就職が一番だと思っていたほどです。そんな私が一次産業に目を向けたのは、社会人になって3年目のとき。その時すでに実家は農家を廃業していたのですが、久しぶりに畑を訪れてみたら、幼い頃の思い出とは真逆の荒れ果てた農地が広がっていたのです。呆然とする私の耳には、幼い頃から繰り返し母に言われてきた言葉が蘇ってきます。"農家は儲からないから継がなくていい"と…。私はそれを機に"一次産業に貢献したい。私たちの食を支えてくれている生産者さんが正当に評価される社会を作りたい"と真剣に考えるようになりました。
起業家には、"起業を目指して成功するための事業を考える人"と、"やりたいことがあって、それを実現するために起業する人"の2パターンに分かれますが、私は完全に後者です。当初は、DeNAで一次産業のサポート事業を立ち上げるか、もしくは一次産業系企業に転職するかの二択で考えていました。ところが、いずれの方法をとっても私が実現したいことをカタチにできるまでに時間がかかりそうだったんです。
為すすべがなく頭を抱えていたとき、"それなら起業したらいい。やらない理由は時間が経つと増えていくから"と友人の起業家が背中を押してくれ、やらない選択肢の方がリスクと思えるようになりました。これが、生産者と消費者を結ぶ産直通販サイト「食ベチョク」を立ち上げた経緯です。」
弱点を克服できたのはメタ認知能力のおかげ。
弱点を克服できたのはメタ認知能力のおかげだと語る秋元里奈さん。
「"起業家"というと、もしかしたら遠い人だと思われてしまうかもしれませんが、私は決して特別な人間ではありません。学生時代はとても引っ込み思案で、"やりたいことがない"というコンプレックスを抱き続けていました。起業のときも、"事あることに、ホリエモンホリエモンって言いすぎ!"とまわりに指摘されたことがあります。どうやらカリスマ性のある方に劣等感があり、堀江さんと自分を比べては自己嫌悪に陥っていたようです。恥ずかしいですよね(笑)
そんな私が変わったのは、コーチング心理学を学んで、自分を客観視する「メタ認知(能力)」を意識するようになったから。私の場合、まわりに気を遣いすぎる性格とリスクを取らないこと。人に相談できず自分で成し遂げようとしてしまうところが起業家としては致命的なウィークポイントでした。メタ認知を意識するようになってからは、自分を客観的に認識するために週単位で自身の行動を振り返ったり、書を通して自分の気持ちを表現したりするようになって。このように、自問自答を繰り返すうちにすっきりし、これまで悩んでいたことが嘘だったかのように肩の力が抜けたんです。
それから、運動することの大切さも実感しています。運動は身体にいいと分かっていながらも、"忙しい"とか"体調が悪い"とか、何かと理由をつけて後回しにしがちですよね。かくいう私もそのタイプで。だから、トライアスロンの大会に出場するというゴールを決めて、毎朝ランニングを行い、週2回のペースでジムに通っています。それからは身体が疲れにくくなりましたし、何よりも脳が活性化してインプットが効率的に行えるようになりました。インプットの時間を増やすことを、今年の目標のひとつとして掲げているので、オーディオブックで情報を得ながらランニングに励んでいます。関心を持った書籍は、休日に図書館でレンタルしたら、余計なモノを増やすことなくインプットできます。
起業をして5年が経ちますが、時が経つのがすさまじく早いことを身をもって感じています。だからこそ、自身にとって必要なもの、不必要なものを精査するときが来ている気がするんです。例えば、これまでは時間を簡単に差し出していました。ところが時間は有限な分、お金以上に大切なものをホイホイと渡しているんだな…とハッとしたタイミングがあって。裏を返せば、その無駄な時間を"取り除く"と、自分の大切な人のために"与える"時間になるわけなんです。これもメタ認知を意識し、週単位での振り返り時間を設けたからこそ気づけたことです。」
生産者さんからいただいた手紙は事業を続けるモチベーションの源
若くして起業し、様々な挑戦を続けている秋元里奈さん。そんな秋元里奈さんのモチベーションの源とは。
「食べることが大好き。だから私生活では、食事を制限してしまうのではなく、食事の中で摂取するものを把握し、その中で余分なものを控えるようにしています。毎朝食べている食材は甘酒、 りんごと小松菜のスムージ一、プロテイン。昼は好きなものを食べて、夜は主食をなしにして納豆とプロテインを摂っています。食べる量を腹八分目にとどめておくことも、仕事のパフォーマンスを上げる大きなポイントです。そうは言いながらも外食もしますし、食べすぎてしまうことだって多々あります。そんなときは、翌日は丸一日、固形物を抜いて帳屍を合わせたらOK。生産者さんのもとを訪れると、おいしいものをたくさん出してくださるので、摂生どころじゃない日々が続くんですけど…(笑)。生産者さんは人間的にもすばらしい人が多く、 いつも元気をおすそ分けしていただいています。
お手紙をいただく機会も多いですが、クリップでまとめておいて、辛くなったときに読み返すようにしているんです。どうやら"私がこの事業をやめたらこの人達に迷惑をかけちゃう"と考えることが、一番自分を鼓舞させる起爆剤のようで。"頼られているな"と実感できるものを手に取ると、モチベーションにつながってどんどんいい循環が生まれます。
私は、生産者さんのこだわりが正当に評価される世の中を目指していますが、達成率でいうとまだ1%に満たないレベルで。「食ベチョク」の場合だと、利用してくださる生産者さんが若手の層に偏っているのが課題なので、今後は高齢の方にも自然に使っていただけるサービスにしていきたいと考えています。また、人材不足や資材高騰といった生産現場が抱える課題をトータルでサポートできる事業に底上げするのがミッションです。」
感謝の気持や近況報告が綴られた、生産者さんからの手紙は秋元里奈さんにとって一番の宝物クリップでまとめて手元に残しており、モチベーションを高めたいときに読み返されているそう。また、インタビュー時に身につけられている紅芯大根のピアスをはじめ、六次産業化した製品をプレゼントしてくださるケースもあるとか。
野菜を"食材"としてではなく"コミュニケーションツール"として捉えていただけるのが『食べチョク』の魅力。野菜が届いて箱を開けたとき、その先に人がいることを実感し、温かな気持ちになっていただくことができます。梱包ひとつをとっても、野菜が地方新聞に包まれているなど、産地を想像させるものがたりがあるのが素敵。
秋元里奈さんのお気に入りアイテム
敏感肌の秋元里奈さんにお使いいただいたのは保湿アイテムが中心。 毎日忙しく、つい美容を怠りがちの秋元里奈さんでしたが、「美容のモチベーションが上がりました!」と満足していただきました。
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日々の暮らしを少しだけ豊かにするヒントについて、素敵な方たちに語っていただきました。