見えないもの作る、
だからこそ対話を重視
My inner beauty tips
vol.02 スタイリスト / 讃井理絵子さん
讃井(さぬい)理絵子 / スタイリスト
高校卒業後、ヘアメイクの専門学校に入学。卒業の半年前にもともと興味があったファッションスタイリストのアシスタントに就き、卒業後も続ける。5年間のアシスタント期間を経て独立し、現在ではフリーのスタイリストとして、ファッションを中心とした雑誌、広告、ファッションブランドのルックブックなどで活躍する。
讃井理絵子さんのInstagramはこちら
ファッション系のメディアや広告の現場でスタイリストとして活躍する讃井(さぬい)理絵子さんが、
お仕事をする上で大事なキーワードになっているのが「理想」。
届けることが難しいものだからこそ、それを追求し続ける感覚が常にあるそうです。
キレイを表現するクリエイターさんの仕事観を紐解く全3回の本連載、
取材と同時に「仕事をする上で大切にしていること」を軸に、
ご本人ディレクションのヴィジュアル写真撮影も行いました。
2回目のゲスト讃井理絵子さんのテーマは「安心感や充足感」
そこにある仕事への思いや、大切にしている価値観をインタビューします。
My inner beauty tips
vol.01 メイクアップアーティスト / ANNAさん
ファッションの世界観に憧れを持った
スタイリストの讃井理絵子さんが、ファッション業界に身を寄せたきっかけのひとつとして、ファッションショーやパラダイス・キスなどの少女漫画や小説など、ファッションの世界観への憧れが大きかったと語ります。
「一番始めはファッションショーへの憧れでした。高校生のとき、ジョン・ガリアーノがDIOR(ディオール)のデザイナーをやっていた時代、そのときのファッションショーはとても刺激でしたね。同時にその頃は、漫画や雑誌をブックオフで安く買って読み漁っていたんです。雑誌ですと『Zipper』『流行通信』『VOGUE』、漫画・小説だと矢沢あいさんの『パラダイス・キス』や嶽本野ばらさんの『下妻物語』。作中に出てくるハイブランドの名前やファッショナブルな登場人物…多感な時期だったからこそ、華やかな世界観に憧れを持ちました」
そんな憧れの世界で活躍されている今。服やメイクはもちろん好きだったものの、それよりも「憧れの場所に行きたい」という純粋な気持ちがただ強かったと振り返ります。
「充足感・安心感」を表現したかった理由
仕事をする上で大切なこととは? 作品テーマでまず考えたことは『人は仕事をする上でどういう状態になりたいのか』でした。そして、たまたま足を運んだ展示会で見たヴォルフガング・ライプ氏の作品のことを思い出します。
「ヴォルフガング・ライプ氏は、花粉や蜜蝋、牛乳などの身近なものを用いて、自然をアートとして表現するアーティストです。そこで見たのは、蜜蝋でできた狭い空間でした。中に入ると少し甘い匂いがして、『ここにずっと居たい』『これだけで十分』という精神的な充足感・安心感を感じました。仕事をする上で大切なことは?という問いをさらに階層を上げて考えたときに、やっぱり人は幸せになりたいもの。じゃあ、その幸せの状態を表現するとしたらどういう状態なのか?を考えたときに、『安心感』や『充足感』という答えに辿り着いたんです」
そこから作り上げられた今回の讃井理絵子さんの作品。空間の中に立つ人の気持ちに添った服は?どういう表情をするか? など細かくストーリーが組み立てられ完成します。安心感や充足感というコンセプトを表現する上で、スタイリングのポイントとなったところを聞いてみると「洋服の色味と柄」という答えが返ってきました。
「『幸せ』という言葉から連想していたのがピンクです。また、水に絵の具を落としてできたようなにじんだこのワンピースは『溶け込む』感じを表現できて、コンセプトの安心感や充足感に沿う形になったかと思います。そのほか、モデルさんの表情や、写真の撮り方、メイク、ヘア、現場で取り組む中でいろいろなアイディアが飛び交い、自分がイメージしていた以上に良い作品になったと思っています」
『言葉を尽くすこと』を大事に
思った以上の作品を作り上げることができたのは、全てに携わったスタッフさんとの意思疎通がうまくいったことが大きいと語ります。そして、このコミュニケーションの部分も、讃井理絵子さんが仕事をする上で重要視しているところ。詳しく聞いてみました。
「アイディアがバランス良く混ざり合うためには、それぞれのプロフェッショナルの方たちとベースの部分にある共通認識がしっかり共有できていることが大切だと思います。今回の撮影は自分がディレクションする立場でしたが、普段の仕事は対クライアントさんのオーダーがあり、それに応える立場。クリエイティブは『もともとないもの』を作るからこそ、相手が何を望んでいるのかをしっかり理解し、それによって時には自分が思っていることを伝えたりしながら、できる限り言葉を尽くすことを心がけています」
苦手意識があるアイテムを日常に取り入れる方法
最後に、日常のおしゃれを楽しむために大切なことを伺いました。
「『肩幅が広いからシャツは似合わない…』というような体に対するネガティブなイメージから、アイテムに対して苦手意識を持つ方はとても多いと思います。でも、そのネガティブな決めつけを取り除くことで、おしゃれの世界観をもっと広げることができるのではないでしょうか」と語る讃井理絵子さん。そこにはナリス化粧品の美容理念である『除いて、与える』に重なる考え方がありました。
「似合うか似合わないは、それまでその人が褒められた回数で判断されていることが多いと思うんです。もしかすると、自分が見慣れていないだけかもしれません。ご自身で違和感を取っ払ってみることで違った世界が見えてくるかもしれません。」
では苦手意識があるアイテムを、日常に取り入れるアイテムに進化させるためには、どうしたらいいのでしょうか。讃井理絵子さんがまず教えてくれたのは、苦手なアイテムの素材、色味、シルエットなど、バージョン違いでたくさん試着してみること。それぞれ3パターンずつを目安に試してみると、アイテムに対して違った印象を持てるのではないかといいます。
「例えば、『丸顔が目立つからタートルネックが苦手』という人がいたとします。でもタートルネックのアイテムひとつとっても、タイトなタートルネックやゆとりのあるタートルネックなどタイプはさまざま。素材や色によっても顔のシルエットの印象は異なってくると思います。」
さらには組み合わせるアイテムはもちろん、そのときの髪型、アクセサリー、メイクによっても印象がまったく変わるという讃井理絵子さん。また、年齢によっても似合うものが変わっていることもあるので、昔似合わないと思っていたものが、今は似合うということもよくあるのだそうです。
「お気に入りのピアスだったり、いつも着慣れている定番のボトムスだったりを取り入れるのも手。それによって苦手意識が緩和されることもあるので、お店に試着しにいくときはぜひそれを身につけて行ってみてください」
そして試着をしに行った際はひとりで解決しようとしないことも大切。店員さんの意見を聞いたり、率直な意見を伝えてくれる友達と一緒に行くこともおすすめされていました。
また、自分の好みや似合うスタイルが自分の日常の範囲内にあるとは限らないため、Instagramで海外のスナップを見るなど、視野を開放的にしてみると新たな発見につながるともいいます。
「世の中には本当にたくさんの人間像があって、憧れたり参考にして取り入れたりできるスタイルの幅が果てしなく存在します。
ファッションはもちろん、全てのことにおいてもっと自由に様々なものに触れながら選択していけると、生活がより楽しくなっていきそうだなと思います。」
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My inner beauty tips vol.01 メイクアップアーティスト / ANNAさん
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Staff
Model : Hiromi Ando(mille management inc.)
Photographer : Misuzu Otsuka
Writer: Ayano Sakamoto
Make-up : ANNA(S-14)
Hair: Miho Emori(KiKi inc.)
Stylist: Rieko Sanui
Editor: Marika Tamura、Ayano Homma (Roaster)
Director: Sayaka Maeda (FLAP,inc.)
Assistant Director: Mone Murata (FLAP,inc.)
Credit
Tops 43,000 yen / REJINA PYO(EMME Co., Ltd.)
Blouse 61,000yen / REJINA PYO(EMME Co., Ltd.)
Patterned skirt 65,000yen / REJINA PYO(EMME Co., Ltd.)
Pink skirt 65,000yen / REJINA PYO(EMME Co., Ltd.)
Shop Info
EMME Co., Ltd. 03-6419-7712
日々の暮らしを少しだけ豊かにするヒントについて、素敵な方たちに語っていただきました。