すべてのはじまりは、国産生バラエキスへのこだわりから

ナリスは信頼できる化粧品原料を追求する中で「高品質な国産生バラエキスを確実に入手するためには自らバラを育てることが近道だ」と考え、化粧品原料のためのバラ栽培を始めました。実は化粧品に使用されるバラエキスの原料はさまざまで、そのほとんどは海外産の乾燥バラから作られます。摘みたての生バラからエキスを抽出する方法は徹底した温度管理が必要でコストもかかるため一般的ではありません。しかしナリスは国産生バラを化粧品原料としており、製品開発への大きな自信につながっています。

本来バラは虫がつきやすく完全無農薬で育てるのはとても難しい植物ですが、虫や虫を食べてくれる動物と共生し、できる限り殺虫剤や農薬を使わないのがナリス流。例えば誘蛾灯を灯すことで殺虫剤を使わずに虫をつきにくくし、UVB（紫外線の一種）を夜間に一定時間照射することで病気にかかりにくくしています。さらに、観賞用や切花出荷用のバラ園では10日に一回ほど消毒薬を散布するのが主流な中、ナリス ローズガーデンでは2ヵ月に一回散布するかしないか。その際も「バラの花が咲いていないときに限る」という徹底ぶり。そんな手間暇がかかる方法を選んでいるのは、お客さまの肌に高品質な国産生バラエキスを届けたいとの確固たる想いから。ナリスのバラは今日も大輪の花を咲かせ、華やかな香りを辺りに放っています。

バラ一本一本の声を聴き、大切な子どものように対峙する

「虫を殺生することなく減農薬で育てています。虫を食べてくれるカエルやトカゲは友達のような存在ですし、それらを狙って狐、野うさぎなんかも出ますよ。自然と共生しているなって感じです」。と話すのは、栽培責任者の鎌田哲也氏。「バラの栽培は子育てのようだと感じています。化粧品原料のメインは花びらなので、葉や枝に多少の傷がついてもご愛嬌。香り豊かな花びらがたくさん収穫できることを目指しているため、一本一本が健やかに育つことを目指しています。現在ローズガーデンではメインで6品種を育てていますが、同一品種でも個性があるなと感じます。だからすべて同じように管理すればいいというわけではない。毎日ハウス内をくまなく歩き回り、数万本というバラ全てに目をかけ、どんな小さな変化も見逃さないようにしています。必要なことがあれば随時対策を取ります。葉の色、花の状態を見ながら、一株ごとの健康度まで確認するのが基本。『声を聴く』といったらいいのでしょうか。バラを生きものとして対峙しているから、やはり5月に一番花（株で一番最初に開く花）が咲いた時の喜びはひとしおですね。今年で19年目になりますが、昨日蕾だったものが翌朝に開いているのを見るたびに、いつも新鮮な喜びがあります。

毎日何万本というバラを見て回るのも大変ですが、もっと大変なのが冬場の管理かもしれません。バラの開花期は5月から12月頃で、それが終わると剪定をします。どの枝を残すかで次の年の育ち方が変わるので大切な作業です。休みなく栽培し続けると土がどうしても痩せがちになるので剪定が終わったら有機肥料を足すなどして土のコンディションも整えます。花が咲いている時がすべてではない。花が咲く瞬間に向けて、土台を整えることも欠かせない。個人的にはこの辺りも子育てに似ているなと感じるんですよね」。